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"バリュー株投資家"でも"グロース株投資家"でもない!"投資家"になるための3つの原則
レミング・ファクター
株を買うとき、私はレミングの集団移動の逆張りをする。
【ウォーレン・バフェット(伝説の投資家)】
レミングとは、北極とその周辺地域に生息するネズミ科の動物です。
このネズミは春になると、食料と新しい住処を探して動き回るため、日本では『旅鼠』と呼ばれるようになりました。
レミングは繁殖能力が非常に高いネズミで、3~4年かけて、その個体数は急激に増加していきます。
すると、レミングたちは不思議な行動をとるようになります。
群れの一部がパニックを起こし、やがて集団で海になだれ込み、疲れて溺れるまで泳ぎ続けるという自己破壊行動を始めるのです。
私たち投資家も、このレミングと同じような行動をすることで知られています。
しかし、時にはレミングの集団移動に追従することが正解であることもある…これが投資の難しいところではないでしょうか?
そこで今回は、『私たちが"パニックを起こしたレミングの集団"への同調を避けるためにはどうすればいいのか?』について考えていきます。
ピア効果
長期的に見れば、私たち投資家の70%が、投資に失敗して資産を減らしていると言われます。
なぜ、大半の投資家が間違った判断をしてしまうのでしょうか?
私たちが判断を間違える最たる要因が心理学用語でいう『同調行動』です。
心理学者のソロモン・アッシュは、被験者を7~9人のグループに分け、基準となる線を示し、それと同じ長さのものを3本の線の中から選ばせるという実験を行いました。
この実験では、一人一人が単独で選んだ場合、99%の被験者が正解の③を選択しました。
しかし、被験者以外を全員サクラにし、サクラが間違った線を選ぶと、その間違った答えに同調し、正答率は68%まで低下してしまったのです。
「そんなバカな!?」
いや、私も同じ状況なら間違っているかもしれません。
このように、
私たちは、過去に経験のない状況や、どのように行動すべきかわからないとき、似たような立場の人たちと同じように行動する傾向が強くなるのです。
私たちの行動に現れるこのような傾向を、専門用語で
ピア効果といいます。
「99%のお客様が、当社の保険に満足していると回答しています。」
私はこれに騙されたのです!
ミューラー・リヤー錯視
しかし、投資家は皆、難しそうな経済にあえて興味を持つような人たちです。
そんな人たちの70%がピア効果に騙されるはずがありません。
では、先ほどの問題を少し難しくしてみましょう。
Ⓠ次の2本の線のうち、長いのはどちらでしょうか?
この問題で、自分を除く全員が「下の方が長い」と答えた場合、ちゃんと正答することができるでしょうか。
パッと見ただけでは、下の方が長いように見えてしまうこの錯覚は、
ミューラー・リヤー錯視と呼ばれるものです。
正解は『どちらも同じ長さ』です。
そう…この問題はインチキです。
『どっちが長いか?』という問題で『どっちも同じ』なんて答えは、なかなか思いつけるものではありません。
株式投資も同じようなものです。
『ミューラー・リヤー錯視』を見抜くには"定規"が必要です。
同じように、株式投資で利益を得るには『他人が憶病な時に強欲になり、他人が強欲な時に憶病になる気質』と『優良企業を見抜くだけの知的要素』が必要になるのです。
『伝説的投資家』ウォーレン・バフェットは言います。
投資を学ぶ学生が取るべき科目は、『事業をどう評価するか』と『市場の価格をどう考えるか』の2つだけである。
TENルール
では、どんな投資が成功するのでしょうか?
私は『3つの10』を満たす企業の株だけに集中投資する方法が最良の投資だと考えています。
私はこれをTENルールと呼んでいます。
①10年間喜んで保有できるか?
あなたがこれから10年間、どこかに出かけるとしよう。その前に、1つだけ投資を行おうと考えたとする。今知っていることがすべての情報で、出かけている間は投資を変更できないとしたら、あなたはどう考えるだろうか?
【ウォーレン・バフェット(伝説の投資家)】
10年間、同じ株を保有し続けている投資家はいったい、どのくらい居るでしょうか?
私の知る限り、ほとんどの投資家は投資先の乗り換えを繰り返しています。
売買を頻繁に繰り返す投資家のパフォーマンスが低下することは、多くの研究で証明されています。
簡単な話です。
短気売買では、他人を出し抜けなければなりません。
ネット証券が誕生し、投資家がいつでも株式を売買することができるようになった結果、他人を出し抜くための競争が激化したのです。
当然、競争が激化した環境で、普通の人が上手く立ち回ることなど不可能です。
これが短期投資が長期で負ける原因なのです。
皆さんは、10年間株を売ることができないとしたら、どの会社の株を買いますか?
②資産の10%以上を投資できるか?
自分の純資産の10%を注ぎ込む勇気と確信を持てないなら、その銘柄に投資するべきではない。
【ウォーレン・バフェット(伝説の投資家)】
多くの投資家が広範に分散されたポートフォリオの方が優れた投資だと考えます。
ほぼ確信を持って言えることは、
50~100社のポートフォリオが、長期的に市場平均をアウトパフォームすることなどほとんどないということです。
『私の魅力的だと思った企業ランキング』第79位への投資が上手くいくようには思えないですよね。
ポートフォリオを10社以下まで絞り込めないのであれば、インデックスに投資することが賢明な判断となるでしょう。
③投資する理由を具体的に10個挙げられるか?
『なぜこの会社を買収するのか?』という1本の小論文が書けないのであれば、100株を買うこともやめたほうがいい。
【ウォーレン・バフェット(伝説の投資家)】
小論文というと大体800字程度の文章のことを言います。
具体的に10個の理由を挙げることができれば、800字程度の文章になるでしょう。
『なぜ、その会社に魅力を感じたのか?』
『なぜ、ビジネスが長期的に上手くいくと思ったのか?』
『なぜ、安全だと思ったのか?』
『なぜ、価格が安いと思ったのか?』
『なぜ、同業他社じゃダメなのか?』…
こんな感じで、理由を10個、無理やりでも絞り出していきます。
こうすることで、
『高配当銘柄だから』とか『優待が魅力的だから』といった理由だけで株を買うことはなくなるでしょう。
理由を10個挙げることにはもう一つメリットがあります。
それは、投資が失敗した場合、なんの理由が間違いだったのかわかることです。
間違えた理由と類似した理由は次からは使わない。
そしてまた、新しい理由を考えて投資する…。
これを繰り返せば繰り返すほど、私たちの投資の精度は向上していくことでしょう。
私たちは投資家なんだ!
ほとんどのマネージャーは、賢明な意思決定をしない。個人としての損得が明白だからだ。普通の人が行わない判断をしてうまくいけば、よくやったと褒められるだけだが、失敗するとクビになるのだから、普通のやり方で失敗する道を選ぶ。レミングは全体としてよくないイメージを持たれているが、個々のレミングが悪いわけではない。
【ウォーレン・バフェット(伝説の投資家)】
銀行員と投資家の違いについて考えたことはあるでしょうか?
『銀行は、晴れた日に傘を貸し、雨の日に取り上げる。』
ほとんどの銀行は、何もかもが順調な時にお金を貸し、危機が起こると保有する資産がどんな価格であっても手放そうとします。
『低リスク・低リターンな投資』というものが、如何にハイリスクなのかがわかるでしょう。
私と同じように、その考え方こそが正解と考える投資家は多いことと思います。
株価が不当に過小評価されているときに株を買い、過大評価されるまで保有する。
これが、本来あるべき投資家の姿なのではないでしょうか?
ウォーレン・バフェットは言います。
私たちはグロース投資家でもバリュー投資家でもない。私たちは投資家なんだ。
次に危機が起きた時も、投資家としての役割を果たせるように、しっかりと準備しておきたいですね。
以上です。
投資家の皆さんの健闘を祈ります!
(`・ω・´)ゞ
※投資は完全自己責任でやりましょう!
まとめ
●レミングは、集団で海になだれ込む自己破壊行動で知られている。投資家にも、これとよく似た習性が確認されている。
●私たちは、過去に経験のない状況や、どのように行動すべきかわからないとき、似たような立場の人たちと同じように行動する傾向が強くなる。
●私たちが投資について学ぶことは『事業をどう評価するか』と『市場の価格をどう考えるか』の2つだけである。
●株を買うときは、10個の理由を考え、最低10年間は保有するつもりで、資産の10%を注ぎ込む勇気と確信を持って投資しよう。
●ハイリターンが得られる可能性があるのであれば、その投資は『ハイリスク』ではない。高い時に株を買い、安い時に慌てて株を手放すような投資だけは絶対にしないように心がけよう!
参考
https://www.financialpointer.com/jp/