見下されるだけの人生に終止符を。~文系人は『オイラーの公式』を理解せよ!~前編


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【波の解析編】

・第一章:複素数

・第二章:正弦波

・第三章:三角関数

・第四章:微分

・第五章:指数と対数

【文明崩壊編】

・第三章:ローマ帝国の滅亡

 

 

CONTENTS

 

シエル:「そろそろ話を進めないか~?」

 

シエルちゃんの声に僕はハッとし、飛び起きる。

なんとなく…とても長い時間、眠っていたような気がしたから。

 

窓の外は薄暗いが、まだかろうじて夕日が街並みを照らしていた。

僕は少しホッとすると、視線を窓から隣の席へと移す。

 

僕:「ミアは…ひょっとして帰った?」

 

シエルちゃんは呆れた顔で僕を見る。

 

シエル:「寝ぼけてるのか?

ミアちゃんは仕事で今日は来れなかっただろ?」

 

僕:「えっ…?いや、さっきまでミアも一緒に勉強していたよね?

それにまだミアは仕事先が決まって…」

 

徐々に記憶が復活してきて、僕は途中で言葉を切った。

 

僕:「ごめん…変なことを言ったね。

結局僕は、ミアを守れなかったわけだ…。」

 

落ち込む僕にシエルちゃんは不機嫌そうな顔で言う。

 

シエル:「なぁ、ミクサは"本物の天才"って知ってるか?

…私は知ってる。

 

ミクサは10聞いたとして、そのうちのいくつを覚えられる?

せいぜい1かそれ以下だろう。

ミクサが1なら、私は1.5覚えられるとする…」

 

これは地味に傷つくが、間違ってないから反論もできない…。

シエルちゃんは話を続ける。

 

シエル:「でも、天才は10聞いたことを10覚えるだけでなく、それらと知識を組み合わせて無限を作る。

無限の前には、1も5も0.3も、微々たる差だ。

仲よくしろ。

 

ミアちゃんはミクサが思っているほど弱い人間じゃない。

それに、ミクサは自分が思っているほど優れた人間でもない。

少なくとも私の目にはそう見える…だから安心しろ。

 

人によっては馬鹿にされたと感じてしまうかもしれないその言葉に、僕はなんだか救われたような気がした。

 

僕は"大したもの"になろうと必死だったんだ…

"大したもの"にならなければいけないと思い込んでいたから…

 

僕:「そっか…同じだったんだね…。」

 

"大したもの"になろうとした結果、いつしか僕は、自分を特別だと思い込むようになっていた…

金持ちや成功者に憧れて、そうでないたくさんの人を見下してきた…酷い人間だ。

 

僕:「ごめん。僕はミアを、シエルちゃんのお姉ちゃんを見下していたみたいだ…本当に、申し訳ない。」

 

シエルちゃんは姿勢を少し崩すと、店内にいる大学生やスーツ姿のサラリーマン、バイトで働く店員といった人たちを指差しながら話しだす。

 

シエル:「理系は文系を見下し、高学歴は低学歴を見下す。

金持ちは貧乏人を見下し、起業家は労働者を見下す。

正社員は非正規社員を見下し、能力の高い人は低い人を見下す。

『お前らは努力が足りないからそうなったんだ!』…てな。

 

Which would be worse ,

to live as a monster or to die as a good man .

(怪物として生きるのと善人として死ぬのでは、どちらがより悪いだろう。)

 

人間はバカだから、他人を見下す怪物になるために必死に努力するんだ。

 

ミクサ、人生転落=不幸と考えるのは間違いだ。

怪物にならずに済んだんだから、むしろ幸福ともいえる。」

 

僕:「ハハッ、そうだね。

確かに、こうなってよかったよ。(まだ転落はしてないけどね…)」

 

夢の中で理解した…僕は自分の力で生きてきたわけじゃない…生かされていたんだ。

そして、まともな人たち(自己中心的で富を独占する一部の人々と、彼らを羨望する大多数の人々)は、いつの時代も間違えてばっかりだ。

残された人生で僕にできること、それは…

 

僕:「でも…それでも僕はお金を稼ぎたい。

 

今だからわかる…

僕は、金持ちや有能な者だけが優位に立つこの社会の構造が大嫌いだ!

だから、運や能力に恵まれなかった人が金銭的に支え合えるシステムを作りたい。

 

でも…今の僕はあまりにも無知で、資金力もない。

僕は、賢くならなくちゃいけない。

 

そのためにシエルちゃん、今日はもう少しだけ、僕のために時間を割いてほしい。」

 

僕の言葉にシエルちゃんは呆れた笑みを浮かべて言う。

 

シエル:「最初からそのつもりだよ。

よし…『波の解析』もいよいよ後半戦に突入だ!

見下される人生に終止符を打つために、ミクサ…『オイラーの公式』を理解しろ!

 

見下されるだけの人生に終止符を。~文系人は『オイラーの公式』を理解せよ!~前編

対数関数の微分

シエル:「これまで私たちは、複素数・三角関数・指数・対数・微分の世界を覗いてきた。

ここからは、これらの基礎知識を使ってオイラーの公式を導いていく。」

 

 

僕:「懐かしいね。

シエルちゃんとの数学修行も、この数式から始まったよね。」

 

シエル:「そうだったな…。

今回の流れだが、左辺の『eのix乗』をべき級数展開、連続微分後、テイラー展開したものが、右辺の三角関数の組み合わせと一致することを見ていく。

 

『eのx乗』を微分するとどうなるのか?

これがわからないと話が前に進まないから…これを理解するために対数関数の微分法について説明する。」

 

 

シエル:「ここで、『h/x=k』とおくと面白いことになる。

 

 

シエル:「右辺にある『(1+k)の1/k乗』のkの値を限りなく0に近づけると…こうなる。

 


僕:「すごい!ここでネイピア数のeが出てくるとは…予想外だよ。」

 

シエル:「数学とは驚きの連続だね♪

ここまでくれば、対数関数の微分はできたも同然だ!」

 

 

シエル:「まとめるよ。」

 

指数関数の微分

シエル:「対数関数の微分がわかったことで、次はこれを使って指数関数を微分するよ。」

 


シエル:「ここで、左辺に注目だ。

左辺を『z=logey』とすると、yはxの関数だから

『y=f(x)』とおくことができる。

つまり左辺は『z=logef(x)』となり、

これは『z=logey』と『y=f(x)』の合成関数であることがわかる。」

 


僕:「う~ん…合成関数の微分は、やっぱり難しいね。」

 

シエル:「まぁ、どんなことにでもいえることだが、数学もある程度は慣れることも必要だ…。

次は右辺を見てみよう。」

 

 

シエル:「これで、指数関数『y=aのx乗』を微分した結果が得られた。」

 

 

僕:「『eのx乗』を微分しても『eのx乗』になることが確認できたわけだね。」

 

シエル:「これで指数関数『eのx乗』を連続微分する準備が整った。

面白いものを見せよう!テイラー展開だ。」

 

…後編に続く。

 

 

当記事は下記資料を参考に作成しています。

・世界一美しい数式「e^iπ=-1」を証明する(佐藤敏明著)

・沁みる「フーリエ級数・フーリエ変換」(佐藤敏明著)

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