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『PER』よりも『PBR』を。ミクサの投資戦略Part③
株式はインフレに強い資産ではない。
もしもインフレが心配なら、資産を守るために最も有効なのは、くだらないモノを欲しがったり、持ったりしないことである。
【チャーリー・マンガー(天才投資家)】
ファンダメンタリストのミクサは、インフレ環境下での株式投資について慎重な姿勢を滲ませている。
リーマン・ショックが起こるまでの数年間、多くの国でインフレ率の上昇傾向が見られ、株式が買われ、金が買われ、原油が買われた。一方、金利の低い日本円は他の多くの通貨に対して値を下げた。皮肉なことに、その期間のインフレ対策として最も適した資産は、株式でも高金利通貨でもなく、みんなが嫌って手放した日本円だった。
【ミクサ(にわかファンダメンタリスト)】
金融市場では、やや直感に反するような現象が時おり観測される。
ミクサは、インフレ環境下での株式の適正価格を『PER』を基準に算出することの危険性について次の二点を指摘している。
一点目、インフレ率の上昇に伴い、金利が上昇した場合、株式に求めるリターンが上昇するため、株式の適正PERは次のグラフが示すように対数関数的に低下すること。
多くの投資家は株式の適正価格を、債券の利回りと比較して決めている。
価格変動リスクのある株式に投資するのに、期待リターンが債券の利息と同じでは投資する理由は見当たらない…そこで、投資家は債券にいくらかリスクプレミアムを上乗せしたリターンを株式に要求することになる。
大体、債券の倍の利回りを株式に要求することが多いだろう。
株式のPERは要求利回りの逆数になるから、要求する利回りが増えると適正PERは低下する。
確かに、インフレは企業の収益を押し上げる効果もあるだろうが…適正PERの低下による短期的な影響は避けられないだろう。
現在(2022.6.1)米国の『S&P500』のPERは約21倍だが…米国債利回りとの比較では若干高いように思える。
今後も金利の上昇傾向が続くかどうかがポイントになるだろう。
『PER』よりも『PBR』を。
そして二点目、株式のPERは危機時には全く当てにならないこと。
次の表は、日本の代表株価指数である『TOPIX』と、米国を代表する株価指数『S&P500』のPERがリーマン・ショック前後でどうなったかをまとめたものである。
危機時には企業の業績も悪化してしまうため、PERの数値が跳ね上がったり、赤字で算出できなくなる場合もある。
PERが使えないなら、必然的に注目はPBRの方に集まる…。
リーマン危機前後でPBRはどうなったのかを見てみよう。
金融危機を想定して投資するのであれば、過去の危機時にPBRがどこまで低下したかを確認しておけば、ある程度の目処が立てられるだろう。現在、TOPIX(プライム市場)のPBRは1.2倍、S&P500は4.1倍だ。投資に『安心安全』は存在しないが、危機時のことを考えるなら日本株の方が被害は少なそうに思える。
【ミクサ(日本株推し…ではない)】
ミクサもいつかは米国株への投資を考えているようだが、投資するのはまだまだ先の話になりそうだ。
それでは、彼のポートフォリオを見てみよう。
ミクサのポートフォリオ
この一月の取引は、
『フリュー』買い増し。
『伊藤忠商事』買い増し。
『三井物産』新規追加。
そして、FXでのドル/円ショートの積み増しだ。
次に、平均取得単価と現在の価格だ。
5月は一時的に円高に振れたタイミングがあった。
『1ドル=126円台で売れば利益が出ていたのに売らなかったこと』について、
意識高い系の30代男性から「頭が悪いのでは?」という品の無い質問が投げかけられた。
これに対しミクサは、質問者の言葉を肯定し次のように答えている。
頭の良い投資家は、売買を繰り返すことで現実的な利益を積み上げようとする。頭の悪い投資家は、保有する資産を売却するのに法外な売値を提示する。金持ちに多いのは後者である。
【ミクサ(無能派投資家)】
ブロガー仲間の動向
今回も、他の投資家の資産配分を紹介しておく。
主婦投資家のぴぐみ氏。
ぴぐみ氏の投資環境は特殊で、家族4人分の金融資産を管理している。
そのため、投資にはより慎重な判断が要求される状態に身を置いている。
そんなぴぐみ氏の資産配分は、
株式等(55%):現金等(45%)であることを公開している。
このような中立的な資産配分は積極的にマネしたいものである。
もう一人、アイコンがぴぐみ氏と同じ『ブタ』の投資家を紹介しておこう。
ハイブリッド投資家のなおちん氏だ。
なおちん氏は、まさにハイブリッドな投資家だ。
どうしてそこまでハイブリッドに投資できるのか?…
それは彼の知力がハイブリッドだからだ。
そんな、なおちん氏の資産配分は、
株式等(56%):現金等(44%)となっている。
ぴぐみ氏と同様、中立的な資産配分は、相場がどちらに動いてもまずまずの結果を出せることから、ハイブリッドな投資戦術であると言えるだろう。
『米国株信者』『ビットコイン信者』『ゴールド・バグ』『イーロン・マスク信者』『バフェット信者』『レバナス民』『南アフリカランド戦士』…
ここまで多くの熱狂的信者が出現した時代はあっただろうか?
歴史を振り返れば…いつの時代も、信者の多くが市場からの退場を余儀なくさせられてきたのである。
今後も、信者たちには厳しい試練が待ち受けているのだろう。
哲学者のカール・ポパーは、試練が厳しければ厳しいほど、それを克服してなお残るような一般原則の価値は大きいと主張している。
厳しい修行に耐える心構えはできているだろうか?
今一度、ポートフォリオのバランスをチェックしておきたいところである。
※投資は完全自己責任の上で行おう!