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これが最後のマクロ経済予測になるだろう…ミクサの投資戦略
最後のマクロ経済予測
❝知らないことが問題なのではない。知りもしないことを知っていると思い込むことが問題なのだ。❞
【マーク・トウェイン(著作家)】
当ブログ最高管理責任者のミクサは、当記事を最後にマクロ経済予測をしないことを宣言した。
マクロ経済予測は彼の生き甲斐だったはずだが、これはどういう風の吹き回しだろうか?
マクロ経済予測を極めた者が辿り着く境地で得られるものはたった一つだ。自分が無能であることを自覚することができる心境…これが、ソクラテスが示した『無知の知』と呼ばれる心理領域なのだろう。自分がアホであることを理解した今、これ以上マクロ経済予測に時間を費やすのは建設的ではないだろう。
【ミクサ(当ブログ最高管理責任者)】
なるほど…彼はようやく、自分がアホであることを自覚できたようだ。
確かに、悪い習慣は早めに絶っておいた方がいいだろう。
喫煙者が禁煙を誓って最後の一本を吸うように、彼は最後のマクロ経済予測を語り始めた。
インフレを抑えるのに、大幅な利上げは必要ない
今問題となっているのは、FRBがインフレ率の上昇に対して完全に対応が後手に回っているということだ。1981年と同じように、FRBが金利を大幅に引き上げた場合、経済に与える影響は計り知れない…これが我々投資家を不安に貶めている要因だ。
【ミクサ(ファンダメンタリスト)】
1971年、米ドルの金本位制崩壊以降、アメリカのインフレ率は2ケタの上昇を記録した。
1981年になると、当時のFRB議長であったポール・ボルカーはインフレ退治に舵を切る。
FF金利を19%まで一気に引き上げたのだ。
インフレを抑え込むためには、『インフレ率+税金分以上の金利』が国債に投資することで得られなくてはならない。
低く見積もっても5%程度のインフレ継続が想定される米国において、インフレを抑えるためには、米国債に6%以上の金利が付く必要があるということだ。
米国債に投資して6%の金利が得られるのであれば、株式への投資では投資家は何パーセントのリターンを要求するだろうか?
10%…いや12%だろうか?
この場合、投資家の要求を満たす水準まで株価は調整されてしまうだろう。
更には、ここまで急激な利上げをした場合、経済に与える影響が『株価の調整』だけとは考えにくい…
恐らく、どこかの国で通貨危機が起きたり、どこかの大き過ぎて潰せない銀行が潰れたりもするだろう。
今回も恒例通り『現金が王様』になるのだろうか?
ミクサの見通しは違うようだ。
結論から言うと、大幅利上げを実行せずとも、インフレ率を低下させることは可能であると考えている。私の予想が正しければ、株式は最も魅力的な資産クラスになるだろう。一つ問題があるとすれば…未来は多くの人にとって残酷なものになるということだ。
【ミクサ(『多くの人』の一人)】
公共財ゲーム"改"
理論経済学分野の研究では、『公共財ゲーム』という実験が行われたことがある。
ミクサはこの実験に注目した。
思考実験をしてみよう。
名付けるなら
『公共財ゲーム"改"』だ。
この国の総人口を10人とし、誰もが個人資産10000円を所有しているとする。
(※思考実験だから「現実的ではない」とかいう類いの批判は受け付けない。)
この国で生活するためには、生活費として毎月1000円を消費しなければいけない。
(※思考実験だ!!)
みんながお金を消費することによって経済が成長したため、政府は『国民が消費した金額を1割増しにして国民に還元する』という政策を実行した。
つまり、国民10人が消費した金額10000円を、11000円に増やして国民に還元しようというわけだ。
しかし、全員が均等に国からの還元を受け取れるわけではなかった。
この国には『富裕族』と呼ばれる種族が一人と、『エリート族』と呼ばれる種族が二人いて、彼らは庶民よりも多くの還元金を受け取ることを許されていたのだ。
具体的には、『富裕族』は消費した金額の2倍を、『エリート族』には消費した金額の1.5倍が還元されていた。
このような経済活動を何カ月も繰り返していくとどうなるだろう?
上図の通り、63回目には庶民の資産が生活に必要なお金(1000円)を下回り、これ以降、同様の経済活動を続けることができなくなってしまったのである。
これが『大幅な利上げに頼らずにインフレ率を低下させる方法』である。
格差を拡大させ、富を少数に集中させることによって、市場に出回るお金の量を減らし、経済活動を停滞させることで、やがてインフレ率は自然に収束していく…
格差拡大がデフレに直結するのであれば、過去50年間、先進国の多くで国債金利が低下し続けてきたことにも納得できるだろう。
そしてこれは同時に、株式投資のリターンは長期的に債券のリターンを上回るという不思議な現象、
エクイティプレミアムパズルの答えなのかもしれない。
「実質金利がマイナスなら、企業はどんどん借金をして事業を拡大し続けるから、金利を上げないと経済が過熱してしまうじゃないか!」
そう考える人も多いだろう…が、
大多数の庶民が相対的貧困の状況では、会社を大きくしたところで、売り上げは伸びないことだろう。
この理論を踏まえ、ミクサはこれまでのバブル崩壊予想を修正、株式に強気な見通しを述べている。
各国中銀が「インフレは一時的」と口を揃えて言ってきたこと、高インフレの環境下でも先進国の国債金利が異常に低いことが不思議で仕方なかった。だが、ひょっとすると『中央銀行』という一国家最大の高学歴集団が出した見解は、正しいのかもしれない。本当に『インフレが一時的』なら、現在の株価は恐ろしく割安であると言わざるを得ない。
【ミクサ(インフレは一時的論信者)】
近い将来…
インフレが収束するのであれば、割高に見える米国株も、まだまだ買いでいいのかもしれない。
それでは、ミクサのポートフォリオを見てみよう。
ミクサのポートフォリオ
先月も、『アートスパークHD』と『フリュー』の株式を買い増したようだ。
これ以外の取引は、ある投資家の勧めで『東京電力HD』株を700株買って、調べた後売却…運よく15%程度の利益が得られたようだ。
「儲かるかどうかはわからないが、10年保有しようとは思わなかった。」と、ミクサは売却理由を語っている。
『間違い』に対する備え
『ロシアのウクライナ侵攻』『中国の景気減速』『トルコの通貨危機』『FRBの大幅利上げ』…金融危機を引き起こす前兆は至る所に見受けられる。だが何年以内に何%の確率で起こるのか?を正確に算出することは不可能だろう。私たちが考えないといけないのは、発生確率X%の危機に対して、どれだけの現金を備えておくか?ということだ。
【ミクサ(元ルーブルファイター)】
1万年前の人類でも、『楽天的な人』もいれば『悲観的な人』もいただろう。
では、遺伝子プールから排除されることなく生き残ったのはどちらだろう?
もちろん、後者だ。
「生き物はみんな友だち」なんて甘い考えを抱いた者は、猛獣の腹の中に消えていったのだ。
結果、私たちの脳は、ネガティブな情報に強く反応するようにできている。
悪いことは良いことよりも重要だと感じてしまうこの現象を心理学者たちは
ネガティビティ・バイアスと呼んでいる。
株価はさらに下落するだろうか?
この質問は我々には難し過ぎる質問である。
一つだけ確かなことがあるとすれば、保有株で評価損が発生しているなら、最初に買ったときよりも好条件で投資できる状態になっているということだ。
『塩漬け』『難平買い』を批判する投資家(いやトレーダー)は多いだろう。
それでも、気にすることはまったくない!
世界を代表する投資家の多くが、『塩漬け』と『難平買い』で巨万の富を築いてきたのは紛れもない事実だからだ。
トレーダーは評価損を嫌うあまり、リターンに対する考え方が我々投資家とは違うようだ。
賢人、ハワード・マークスは、自身の著書で『デイトレーダー』を次のように皮肉っている。
デイトレーダーは、ある株式を10ドルで買って11ドルで売り、翌週に24ドルで買い戻して25ドルで売り、さらに一週間後に39ドルで買って40ドルで売る、といった取引をしたときに、成功したと思うらしい。30ドル値上がりした株を売買したのに3ドルの利益しか得られていない、ということに気づかない人は、これ以上、本書を読むべきではないだろう。
【ハワード・マークス(著書『投資で一番大切な20の教え』より)】
株式投資において最も簡単かつ効率的に資産を増やす方法は、
高いときは買わず、安いときに多めに買うことだ。
問題は『何が安いのか』を知ることなのだが…
※投資の判断は自分で下そう!
ミクサの見通しまとめ
◎株式…強気。まだ10%程度は下げるかもしれないが、だいぶ調整も完了したように思う。
◎債券…中立。債券がバブルだとは思わない。インフレ下でも低金利が継続する可能性。
◎米ドル…弱気。日米の物価水準を考えると割高であり、これを解消するには、日本のインフレ率が米国を超える必要があるが…これはありそうにない。
◎コモディティ…強気。下がる理由が見つからない。が、新規参入も得策とは思えない。
◎トルコリラ…どうあがいても絶望。友達のなおちん氏(id:naomi-up1)がロシアルーブルとの相関性を指摘していたが…トルコもロシアも、嫌な雰囲気が漂っているように感じる。知らんけど…。