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『確率』よりも『影響』を…ミクサの投資戦略
米国株の無慈悲な上昇…
❝とても稀な事象の確率は計算できない。でも、そういう事象が起こったときに私たちに及ぶ影響なら、かなり簡単に見極められる。意思決定をするときは、確率よりも影響の方に焦点を当てるべきなのだ。不確実性の本質はそこにある。私は人生の大部分をそんな考えで過ごしてきた。❞
【ナシーム・ニコラス・タレブ(哲学者)】
当ブログ最高管理責任者のミクサは、自身の予測の精度の低さを認め、『米国株』の見通しを上方修正している。
まさかこのタイミングでS&P500が最高値を更新するとは思わなかった。私は米国株の上昇トレンドは終了したと思っていた。クソ…なんで買ってないんだ…。
【ミクサ(当ブログ最高管理責任者)】
今、彼と同じように嘆いている投資家も多いだろう。
心からお見舞いを申し上げておこう。
ミクサは自身が注目している資産の見通しを、
『強気』『中立』『弱気』の3段階で評価している。
見通しの変化を確認しておこう。
米国株…弱気→中立
米国のインフレが米企業の一株益を押し上げ続けると予想する。FRBが来年8回利上げしたとしてもFF金利は2%…まさに『焼石に水』の状況だ。
米ドル…弱気→中立
インフレが株価を押し上げる限り、米国株神話は崩れない。この状況が継続する限り、米国への資金流入は続くだろう。
日本株…中立→中立
日本でもインフレ期待が強まると予想する。実質金利がマイナスになるため、日本株への資金逃避が加速するだろう。
貴金属…強気→強気
現在のような状況が長引けば長引くほど、現金の信頼は低下する。貴金属や暗号資産なんて何の役にも立たないのだが…多くの人はそんなことは気にしないだろう。
ミクサはここにきて、
①アメリカの高止まりするインフレ率が株価を押し上げる。
②米国株に投資するために米ドルが買われる。
③結果、ドル価格は高水準で維持される。
という不思議な持論を展開している。
アメリカのインフレ率が5%で高止まりすると仮定すると、米国企業の収益率も5%程度上昇することになる。それは、米ドルの価値を5%低下させることと同義だが、おそらく、ほとんどの人はそこまで深くは考えないだろう。S&P500の一株益が10%成長すると仮定し、FF金利を2%とすると、適正PERは25倍前後…2022年のフェアバリューは4500pt.付近を想定する。
【ミクサ(ファンダメンタリスト)】
ここで注意したいのは、株式市場は1~2年先の見通しを織り込んで価格を形成していくという点だ。
米国株の見通しが良好なら、株価はさらに10~20%上乗せされると言ってもバカげた話ではないだろう。
良い投資話に聞こえるが、ミクサは負けを認め「絶対に買わない!」と言っている。
ミクサのポートフォリオ
今月は『銀』を少し買い増した以外は特になにもしていないようだ。
ミクサはどちらかというと弱気派の投資家だが、ポートフォリオは集中型で、リスクを分散できているとはお世辞にも言えない。
それでもミクサはこのポートフォリオで安心して眠れているそうだ。
50種類のETFに分散投資させていても不安な人は、彼のように少数の個別銘柄に集中投資してみてはどうだろうか?
睡眠の質が改善されること請け合いである。
『トルコリラ』という無慈悲な通貨
『トルコリラ』という無慈悲な通貨の暴落が最近、「無慈悲過ぎる」と話題だが…私はトルコ通貨危機が無慈悲な金融危機を誘発することを懸念している。
【ミクサ(元トルコリラ戦士)】
リーマン・ショックが起きたのは2008年秋のことだが、その前にはアイスランドやアイルランドで金融危機が起きていた。
人々はこれらを小さな問題だとして気にも留めなかったが、やがて問題は大きくなり、最終的には最悪無慈悲の金融危機を引き起こしてしまった。
トルコリラの下落は小さな問題だろうか?
ミクサはそうは思っていないようだ。
トルコは政策金利が14%と高いことから、この高い金利収入を得ようとFXでトルコリラを買う投資家も少なくはない。
我々は彼らを『トルコリラ戦士』と呼んでいる。
『トルコリラ/円』の過去10年間の値動きを見てみよう。
10年前は、
1トルコリラ=50円だったものが、現在はなんと
1トルコリラ=9円台にまでリラ安が進んでいるのだ。
なぜ魅力的な高金利通貨がここまで売りこまれているのだろうか?
それはインフレ率が高いからだ。
ミクサは、日本から見てトルコの物価はこの10年で2.7倍に上昇していると言う。
つまりトルコリラの通貨価値は10年前の水準から63%低下していることになる。
10年前の為替レートが1トルコリラ=45円前後であったことから、これを正しいと仮定すると、適正価格は1トルコリラ=16.6円となる。
ここでも、市場は数年先の見通しを織り込みながら価格を形成していくことを意識しよう。
2022年のトルコの予想インフレ率を20%、翌年も同じだけインフレが進む見通しを市場が織り込んだ場合は、
16.6×(1-0.2)^2=10.62となり、それでも現状はやや売られ過ぎのように思える。
急激なインフレが貨幣の信頼を没落させることで、更にインフレが加速する現象をインフレスパイラルという。
インフレスパイラルは経済を混乱させ、治安の悪化を招き、暴動デモや内戦を引き起こすかもしれない。
こういったことが金融危機を誘発させる可能性は決してゼロではないだろう。
問題は…世界中で物価上昇が問題視されている現状で金融危機が起こった際に、どのような救済措置がとられるのか?だ。
ミクサはこの2年間ずっと、この危機を乗り切る方法について考えてきた。
結局、答えは見つからなかったようだ。
ミクサは言う。
各国中銀は大きな選択を迫られる…世界恐慌を黙認するか?インフレを容認して更なる貨幣増発を行うか?だ。こんなことは過去に前例がないため、どうなるかは実際に体験して知ることになるだろう。
稀な事象が起こるオッズは、我々には算出できない。
しかし、もし起きれば大切な財産が吹き飛ぶことは容易に想像できるだろう。
だから投資は、『確率』よりも『影響』の方に焦点を当てるべきなのだ。
現在危険にさらされている資産クラスは、
株式・債券・不動産・貴金属・暗号資産…そして現金だ。
危機に対する備えは万全だろうか?
今一度、自身のポートフォリオをチェックしておくことをおすすめする。
※投資の判断は自分で下そう!