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『安心』『安全』は高くつく!ミクサの投資戦略
『全部バブル』でも投資する。
❝他人に投機を思いとどまらせることなどできない。
私にできるのは歴史家のように指摘することだけだ。
『バブルはこう感じられ、すばらしいと感じられ、こう上昇し、最後には脱線し、クラッシュし、公正価格に戻っていく。』これからそれが起こる。❞
【ジェレミー・グランサム(GMO)】
当ブログ最高管理責任者のミクサは、これまでの円高・株安予想を継続しつつも、『バーベル戦略』の重要性を語ることで周到に逃げ道を準備している。
今がバブル末期であることは、みんなも知っているだろう?心の隅ではパーティーの終わりを心配しつつも、まだ音楽が鳴っているから踊り続けているんだ。もう帰った人もいるが…私はまだ帰る気はない。だって、いつ終わるかなんて誰にもわからないのだから。
【ミクサ(当ブログ最高管理責任者)】
市場がバブルだと言われれば、リスク資産をさっさと手放して現金化するのは、頭の固い日本人に多く見られる行動パターンだ。
私たちは皆、確実なものを好み、不確実性を嫌うのだ。
私たちに備わっているこのような性質は行動経済学用語で
確実性効果と呼ばれている。
6連発リボルバーのシリンダーに弾が1発だけ装填されている。
この銃でロシアンルーレットをしなければいけない場合、1発の弾を取り除いてもらうのにいくら払うだろうか?
この場合、全財産を支払う人も多いだろう。
しかし、装填されている弾が4発なら話は違ってくる。
低下する確率は同じであるにもかかわらず、この場合の取り除く弾1発分の価値は大きく目減りしてしまうのだ。
この話から得られる教訓は
『安心・安全・ゼロリスク』は高いということである。
『天体の動きは計算できるが、人々の狂気は計算できない』とはアイザック・ニュートンの言葉だが、私たちの想像を上回る期間にわたってバブルが継続する可能性も想定しておかなければならない。金価格のように古代から続くバブルもある。ある程度の流動性を確保しておくことは大切だが、投資家は『ゼロリスクは高くつく』ということを肝に銘じておかなければならない。
【ミクサ(白黒つけるのが嫌いな人)】
今、全財産を現金で保有しているのであればそれは大きな間違いであると言えるだろう。
バブル時の資産配分について、ミクサは以前からバーベル戦略的アプローチを推奨している。
ここからは、著名投資家が実践している様々なバーベル戦略を紹介しよう。
あれもバーベル、これもバーベル。
バーベル戦略について簡単におさらいしておこう。
バーベル戦略は不確実性科学の専門家であるナシーム・ニコラス・タレブが考案したもので、リスク資産と安全資産を組み合わせた両極端な二重戦略のことを言う。
ナシーム・ニコラス・タレブは自身の著書『ブラック・スワン』の中で、
ハイリスク資産(15%):米国債(85%)の組み合わせを推奨している。
では、他の著名な投資家たちのバーベル戦略を見てみよう。
みんなポケットにお金が入っていて、値段が上がっても払うんだ。ほとんど買い物マニアだ。経済は赤く熱している。
【ウォーレン・バフェット(バークシャー・ハサウェイ)】
ウォーレン・バフェット率いるバークシャー・ハサウェイは、2820億ドルの株式資産に対して、1450億ドルの現金を保有している。
現金比率は34%程度であることから、一部では同氏が『まだ強気である』と受け取られているが、株価上昇による含み益拡大が現金比率を引き下げていることから、ウォーレン・バフェットの採用しているバーベル戦略は
株式(50%):現金(50%)
であると考えて問題ないだろう。
ウォーレン・バフェットは言う。
最良の道は、自分がわからないことを認識し、何が起こってもそこそこの結果が得られるような方法を採ることだ。バークシャー・ハサウェイではそう努めている。マクロ経済予想によって私たちが利益を生み出せるとは考えていない。
この資産配分はわかりやすく素人でも簡単にマネできるからおすすめだ。
しかし、コロナ危機以降は「現金はゴミ」というキャッチフレーズの下、現金の危険性を訴える投資家も増えている。
レイ・ダリオやジェレミー・シーゲルといった強気派投資家が代表格だ。
彼らは現金・債券が高過ぎるから、現在の株価は正当化されると主張する。
つまり現在は、株式・債券・金・現金のどれ一つとして安全なものは無いと考えられるのだ。
すべての資産が危険なら、全部に同額ずつ配分しよう!
株式:債券:金:現金
=25%:25%:25%:25%
これを実践しているのが『債券王』ことジェフリー・ガンドラックだ。
今では資産の25%を金で持つことはバカげた考えでなくなった。また、25%を現金で持つのもバカげたことではない。…それほど結末に潜在的なテール・リスクが存在し、かけ離れた結末があり得る。だから、このバーベル型の資産配分の考えが必要なんだ。
【ジェフリー・ガンドラック(ダブルライン・キャピタル)】
しかし、このポートフォリオは全くもって面白くない。
まず株式の配分が少なすぎる。
債券と現金を合わせて50%も保有するのもつまらない。
ということで、当ブログでは『コモディティ王』ことデニス・ガートマンの実践するバーベル戦略を推奨したい。
もしも、株式60:債券40のポートフォリオから始めたなら、株式40:債券40:金20とすべきだ。よりアグレッシブにいくなら、株式40:債券30:金30にするだろう。私はそれほど現在の債券市場を心配しているのだ。
【デニス・ガートマン(コモディティ王)】
おもしろいのは、債券市場の将来性を心配している同氏が、金をポートフォリオに組み入れる際の配分を債券ではなく株式から持ってきている点だ。
彼にとっては、株式・債券市場ともに悲観的に見えるのだろう。
デニス・ガートマンは今後10年間の自身の投資戦略を語っている。
今後10年、私は30%何らかの形で金を保有する。30%様々な毎月配当のクローズ・エンドの債券ファンドを保有する。30%コモディティ関連企業を保有する。最後の10%は新興国市場ETFを保有する。
ミクサのポートフォリオ
ミクサはデニス・ガートマンの資産配分
株式:債券:金
=40%:40%:20%をベースに少しだけ変更を加え、
株式:現金:貴金属
=40%:40%:20%のポートフォリオを目指しているようだ。
それでは、彼のポートフォリオを見てみよう。
今月は『銀』を少し買い増しただけで、他の売買はしていないようだ。
ミクサは今後の投資戦略を語っている。
数年前まで…「インフレになる」と言っても誰も信じなかった。今、長期的なインフレが現実のものとなり始めている。各国中銀が本気でインフレ退治に踏み込むのはしばらく先の話になるだろう。インフレを前提にポートフォリオを構築しなくてはならない。資源開発・IT企業にはしばらく追い風となるだろう。債券はリスクが高いので、現金にインフレヘッジとして貴金属を保有しておけば心強い。現時点で私に、これ以上の名案はない。
みんな納得しているけど…
金利が下がれば株価は上昇するだろうか?信じられないことに、ほとんどの人がこの理論に何の疑問も持たずに納得している。株価上昇の理由が金利の低下なら、金利低下の理由は何だったのだろうか?
【ミクサ(考え過ぎる人)】
債券高と株高が同時に進行する、不況時に見られるこの現象は、
不景気の株高と呼ばれている。
しかし、この現象は大きな矛盾の上に成り立っている。
債券投資家は『景気の見通しが悪い』から債券に投資する。
債券投資家のこの行動は債券の利回りを低下させる。
株式投資家は『債券の利回りが低下した』から株式に投資する。
株式投資家のこのような行動が正当化されるなら、なぜ債券投資家は株式に投資しなかったのだろうか?
過去にこの現象が発生した事例として有名なのが、1980年代後半の日本だ。
1985年のプラザ合意による円高不況を脱するために、日銀は公定歩合を引き下げた。
これは預金金利の低下を招き、投資家を株式を始め不動産・収集品などのハード・アセットへ走らせた。
1989年、ようやく危機感を持った日銀は金融引き締めに舵を切る。
その後『失われた20年』と呼ばれる不況に突入したのは、もはや周知の事実だろう。
不景気の株高をもたらす金融相場は、超低金利によるカネ余りによって支えられた相場であり、金利が上昇すれば下げに転じることが多いのだ。
ミクサは、昨年2月に始まった商品市場の長期強気相場入りを受け、各国中銀は近々金利の引き上げを余儀なくされると判断、日本バブルの教訓から株式・債券・不動産の大規模な価格調整を警戒している。
この現象(不景気の株高)は、債券投資家か株式投資家(または両方)が判断を間違えたことによって起こる。1986年の日本では、両方の投資家が間違えたため、すべての金融資産が現金に対して値を下げた。『不景気の株高』を私たちは正当化してはいけない。この原理が正しいのであれば、いったい誰が債券に投資するというのか?
安心・安全は高くつき、時々過大評価され法外な価格がつけられる。
先進国の債券、米国株・不動産はどうだろうか?
今の内にポートフォリオのリバランスを行っておくのも悪くはないだろう。
※投資の判断は自分で下そう!
ミクサの見通しまとめ
●米国株…弱気。もはや恐怖を覚える水準であり、『半値になる』という予想に対し「まぁ、そうだろう」と思う。
●日本株…中立。価格はまだ常識の範囲内であり、中央銀行には逆らうべきではない。
●為替…円高。米FRBの利上げ後は全面的に円高になるだろう。1ドル80~90円を想定。
●貴金属…強気。あらゆる通貨への信用が低下している中、貴金属の需要は増す一方だろう。また、この問題はすぐには解決しそうにない。
●保有株…強気。素晴らしい会社ばかりであり、買い増しのため、株価下落を望む。
参考
https://www.financialpointer.com/jp/