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株式投資で"引き際"がわかる7つの質問 ミクサの投資戦略
市場サイクル
ほとんどすべてのものにはサイクルがある、と肝に銘じておくことが必要不可欠だと思う。確信を持って言えることはあまりないが、これだけは確かだ。いつだって、振り返れば物事はサイクルに従って動いている。ひたすら一方行に動き続けるものなどない。空に届くまで伸びる木はない。また、ゼロになって終わるものもほとんどない。そして、今日の出来事を未来に当てはめることへのこだわりほど、投資家の健康を脅かすものはない。
【ハワード・マークス(オークツリー・キャピタル)】
私たちは毎日、朝起きて、昼活動し、夜は睡眠をとります。
季節は春夏秋冬を繰り返し、私たちはシーズンに合った服を着て、趣味を楽しみます。
子供は学校に行き、大人になれば仕事をし、年老いれば優雅な隠居生活…はムリですかね(汗)
私たちの生きるこの世界は、サイクルに従って一定のパターンを繰り返しており、私たちは、これら周期的なパターンに従って活動することにより、日々の生活を過ごしやすくしているのです。
これは、無機的なもの以外の全てのものに共通し、もちろん、人がかかわる株式市場も決して例外ではありません。
景気は、
好況→後退→不況→回復→好況→後退…
という景気循環を繰り返します。
景気循環が、投資家の感情を刺激し、行動を変化させることにより、市場サイクルが形成されるのです。
『市場サイクルの専門家』ハワード・マークスは、市場サイクルを3つの段階、
a…幸せな中心点
b…非の打ちどころのない状態
c…絶望的な状態
に分け、「今、サイクルのどこにいるのか?」を意識することで、過去の相場大暴落による損失を最小限に留めた上で、ピンチをチャンスに変え、巨万の富を築いてきたのです。
「今、サイクルのどこにいるのか?」を知ることができれば、私たちの投資成績も、きっと向上することでしょう。
そこで今回は、ハワード・マークスが『市場サイクルの現在位置を見極める上でチェックしていること』を紹介し、実際に現在の状況を診断してみようと思います。
"引き際"を見極め、ピンチをチャンスに変えましょう!
"引き際"がわかる7つの質問
すべてが順調で価格が高騰しているとき、投資家は慎重さを忘れ去り、買いに殺到する。その後、市場が混乱に陥ると資産はバーゲン品となり、投資家はリスクをとる意欲を完全に失って、売りに殺到する。この繰り返しが永遠に続くのだ。
【ハワード・マークス(オークツリー・キャピタル)】
夏は暑くて、虫がいっぱいいて、日照時間は他の季節よりも長いです。
冬は真逆で、寒くて、虫がほとんどいなくて、日照時間は短めです。
あらゆるサイクルは、それぞれの段階に応じて、必ず何かしらの特徴があるものです。
こういった特徴は市場サイクルにも例外なく存在します。
ハワード・マークスは、市場サイクルの中でもっとも危険な『非の打ちどころのない状態』の時に現れる特徴を分析し、現在の市場環境と照らし合わせることで、現在位置を特定しようと試みています。
ハワード・マークスのチェックリストは全部で28項目ありますが…
私たち素人には難しい内容のものもありますので、ハワード・マークスが自身の著書『投資で一番大切な20の教え』で抜粋している7項目について紹介します。
では、見ていきましょう。
①投資家の意欲は?
A…楽観的
B…悲観的
②メディアに登場するコメンテーターは?
A…果敢に攻めろと言っている
B…買うなと言っている
③新手の投資商品は?
A…すんなり受け入れられた
B…あっという間に見向きもされなくなった。
④新株発行は?
A…金儲けのチャンスと思われている
B…落とし穴の恐れありと見られている
⑤資金調達は?
A…すこぶる容易
B…不可能に近い
⑥歴史的に見てPERは?
A…高い
B…安い
⑦イールド・スプレッドは?
A…小幅
B…大幅
ハワード・マークスによると、これら項目のほとんどがAになった場合、市場はヒートアップしている可能性が高いことから、財布の紐は締めておいた方がいいそうです。
『ほとんど』というと、多くの場合『十中八九』として使われる言葉なので、8割(6項目)以上がAであれば、私たちにとっては『投資の引き際』だと言えるでしょう。
それでは、現在(2021.6.2)の状況を診断してみましょう。
現在は市場サイクルのどこ?
①投資家の意欲は?
私個人は楽観的に見ています。
友人・知人は楽観的、ブロガーさんの多くも楽観的な印象です。
よって『A』です。
②メディアに登場するコメンテーターは?
私は、テレビはほとんど見ないので、経済雑誌や投資関連記事の印象で判断します。
少し前までは悲観的記事が多かったですが、最近は「果敢に攻めろ」といった内容の記事が比較的多い印象です。
よって『A』です。
③新手の投資商品は?
『暗号資産』『ソーシャルレンディング』『ロボアドバイザー』…
あっさり浸透しています。
『A』です。
④新株発行は?
新株を発行すれば、高い株価で巨額の資金を調達できます。
今の環境なら新株発行で株価が暴落することもないでしょう。
『A』です。
⑤資金調達は?
金利は歴史的低水準をキープしています。
私たち個人もお金が借りやすくなりましたね。
『A』です。
⑥歴史的に見てPERは?
TOPIXの推定PERは17.6倍です。(下サイト参照)
東証1部業種別データ|株式・株価/PTS[モーニングスター]
TOPIXのPERは12~16倍のレンジが基本なので現状は割高です。
『A』です…。
⑦イールド・スプレッドは?
『イールド・スプレッド』は、債券と株式の利回り差のことです。
10年物の日本国債金利は0.1%、TOPIXの利回りはPERから逆算して約5.7%…
イールド・スプレッドは『大幅』
よって『B』です。
以上診断結果より、現在の市場環境はサイクルの『非の打ちどころのない状態』に位置している可能性が高いです。
私は、景気循環を意識した上で、ポートフォリオの株式比率を調整していくことにしています。
今回の診断結果から、現在は『好況期』に位置しており、株式の保有比率を60%以下まで低下させるべきと判断します。
以上を踏まえ、今後の投資戦略を練っていきます。
私のポートフォリオ
5月は『金ETF』を全て売却。
『UNITED』から『エレコム』に乗り換えました。
『五大商社株』を一部売却。
現金比率を高めました。
次に取得単価と現在の価格です。
まず『金ETF』からの撤退理由です。
恐らく、金を売却したこの判断は間違っているのだと思います。
私自身、金価格は上がると信じてますが、
50%、60%、70%…下がったとして、買い増しできるか?と自問した時、「私にはできない」と思ったので、全て手放すことにしました。
金信者の方々の幸運を祈ります。
『スクウェア・エニックスHD』が大きく売られています。
良いニュースでも逆に動く…好業績は織り込み済みだったようですね。
5000円台前半から断続的に買っていきたいと思います。
『エレコム』はずっと狙っていた銘柄です。
買うタイミングが少し早かったと思っていますが、下がれば買い増ししていきます。
基本的に、私は日本株に強気です。
長期的には、日経平均株価は4万円を超えると信じています。
しかし、その前に危機が起こるかどうかはわかりません。
危機が起きれば、積極的に買っていきたいと思います。
『行き過ぎ』は反転する
ハワード・マークスは言います。
我々が確信を持てることはごく少ないが、その一つとして挙げられるのは、行き過ぎた相場の動きは反転するということだ。振り子が永遠に一方行へ進み続ける、あるいは一端にとどまり続けると考える者は、いずれ大損するだろう。一方、振り子の挙動を理解している者は、大儲けする可能性があるのだ。
株価が上がり、「これ以上は上がらないだろう」と思うと投資家は株を売却します。
しかし、売却してから更に株価が10%、20%上昇していく内に、私たちはしばしば血迷い再度株を購入してしまうのです。
その結果、天井付近で株を買って、多くの場合、その後何十年も塩漬けするはめになります。
ハワード・マークスは、私たち投資家に見られるこのような現象を
降伏と呼びました。
物事はたいてい「すばらしい」状態と「それほどでもない」状態の間を行き来する。ところが投資の世界では、投資家の認識が往々にして『非の打ちどころのない』状態と『絶望的な』状態の間で揺れ動く。振り子は一方の極限からもう一方の極限に向かって猛スピードで動くのであり、『幸せな中心点』に位置する時間はないに等しく、また穏当と言える範囲を通っている時間もかなり短い。はじめは市場の流れに乗ることを拒否していた者も、あっという間に降伏してしまうのである。
【ハワード・マークス(オークツリー・キャピタル)】
世界的投資家の多くは、最初はビットコインを悲観的に見ていました。
しかし、ビットコインの凄まじい上昇を見ているうちに、彼らは意見を変え、次々にビットコイン投資に参入していったのです。
その後、ビットコインが大暴落したのは周知の通りです。
今や、世界的投資家であってもカモにされる時代なのです。
ポーカーをやり始めて20分経っても、誰がカモかわからない人は、自分がカモなのだ。
【ウォーレン・バフェット(伝説の投資家)】
今カモにされているのは、投資したい衝動に耐え続けている賢明な投資家たちでしょう。
最後の降伏者にならないように気を付けていきたいですね。
以上です。
投資家の皆様の健闘を祈ります☆彡
(`・ω・´)ゞ
※投資は完全自己責任でやりましょう!
まとめ
●無機的なものを除き、世界に存在するあらゆるものはサイクルに従って一定の周期的パターンを繰り返している。
●経済には景気循環サイクルが存在し、投資家は、今自分がサイクルのどこにいるかを意識しておく必要がある。
●現在は景気循環の『好況』に位置している可能性が高く、投資家にとっては引き際であると言える。
●金価格は既にインフレを織り込んでいる可能性。
●2007年の1月に株を売ってもよかった。2006年でも2005年でもよかった。リーマンショックを避けられたなら、いつ売っても正解だった。
参考
投資で一番大切な20の教え 賢い投資家になるための隠れた常識 (日本経済新聞出版)