日経225銘柄中『平均』を上回る銘柄は何社ある?


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 CONTENTS

 

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日経225銘柄中『平均』を上回る銘柄は何社ある?

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分散の無駄

『伝説的投資家』ウォーレン・バフェットは言いました。

 

分散とは無知に対するリスク回避だ。だから、勝手知ったる者にとって、分散の手法はほとんど意味がない。 

 

多くの投資家は広範な分散投資を行い、その上で、自分の組成したポートフォリオが市場平均を上回るパフォーマンスを発揮すると信じています。

 

FXでの米ドル・フルレバ集中投資に失敗した私は、破滅することを恐れ、70を超える銘柄に分散投資し、なんとそのポートフォリオは市場平均株価が右肩上がりな状況の中『3年間で収支がマイナス』という驚異的なリターンを記録したのです。

 

ウォーレン・バフェットを20年以上にわたり研究してきたロバート・G・ハグストロームは、名著『バフェットの法則』の中で、自身が行った次の実験を紹介しています。

 

彼は、売上高・利益・自己資本利益率のわかる1200社の株式を、コンピューターを使って規模の異なる1万2000件のポートフォリオを次のように組成しました。

 

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 1987年~1996年の10年間での、各ポートフォリオの平均リターンを計算し、同期間中の市場平均(S&P500)の投資リターンと比較したのです。

結果は次の通りになりました。

 

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 この実験でわかるのは、銘柄を分散させればさせるほど、市場平均リターンを上回ることが難しく、逆に、15銘柄程度まで投資先を絞り込めば、適当に選んだ銘柄で構成されたポートフォリオであっても、4人に1人は市場平均を上回る投資成績を上げられるということです。

 

なぜこのようなことになるのでしょうか?

ずっとこの結果が腑に落ちなかった私は、小学生でもできる、ある簡単な調査を実施することにしたのです。

 

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日経平均構成銘柄で平均を上回る銘柄は何社ある?

私は日経平均株価を構成する225銘柄の過去の値動きを調べ、

2010年1月始値~2020年1月始値の上昇率と、日経平均株価の上昇率を比較しました。

(10年分のデータが無い会社は、確認できる最も古い価格と比較しました。)

 

その間、日経平均株価は2.2倍上昇していました。

 

調査の結果、

225銘柄中『平均』を上回った銘柄は79社に留まり

残り146社は平均以下のパフォーマンスに着地していたのです。

 

市場平均を吊り上げた銘柄上位10社は次の通りで、

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これ以下には『ダイキン』『資生堂』『SBG』といった優良企業を含む10社ほどが4倍超えの成長率で市場平均株価を牽引していました。

 

逆に、下位10社は次のようになり、

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調査期間中に元本割れとなった銘柄は上記銘柄を含め44銘柄に上りました。

 

上述の通り、ほとんどの銘柄は平均以下の上昇率であり、一部の銘柄が平均株価を吊り上げた構図がはっきりとわかる結果となりました。

 

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ランダムウォーク

今回の調査結果から、日経225銘柄の中で、平均を上回る銘柄は全体の3分の1程度に留まっていることがわかりました。

 

では、この状況で多くの銘柄に分散投資した場合、どのような結果になるでしょうか?

 

こんなゲームがあります。

コインを投げて、表が出れば前に進み、裏が出れば後ろに下がる…。

これは

ランダムウォークと呼ばれるゲームです。

 

金融市場のさまざまな変数は、ランダムウォークのような動きをすることから、予測することは不可能だと言われています。

 

今回はこのゲームをサイコロでやってみようと思います。

 

サイコロを振って『5』と『6』が出たら前に1歩進み、その他の目が出れば後ろに1歩下がります。

 

10歩先にゴールがあり、大金が手に入ります。

しかし、10歩後退した場合『お金を失う』または『平均以下の運用益』という結果が待っています。

 

お気づきの通り、このゲームの勝率は非常に悪く、サイコロを振れば振るほど、状況がどんどん悪くなってしまうのです。

 

これが私たち素人がやっている『従来型の分散投資』です。

 

『スーパー経済学者』ジョン・メイナード・ケインズはこんな言葉を遺しています。

 

ほとんど内容を知らず、とくに確信を持つ理由もない企業に投資し、投資を広く分散させることでリスクを限定できると考えるのは誤りだ。人の知識と経験には明らかに限界があり、個人として完璧に理解したと思える企業は2、3社を超えることはまずない。

 

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株価上昇にはトレンドがある!?

『冒険投資家』ジム・ロジャーズは言います。

 

数多くの研究が示している通り、市場平均に投資するインデックス投資は、ほとんどの投資家の成績を上回るリターンを得ることができる。…私がインデックス投資をするのはリターンの話もあるが、もう一つ、私は怠け者だからだ。平均に投資するので、インデックス投資は基本的に自分で考えることがない。インデックス投資は楽なのだ。

 

私たちは『少数の株を適当に選んで購入し、持ち続けているだけ』では、25%の確率でしか市場平均に勝つことはできません。

 

そこで私はダメもとで、銘柄を業種ごとに分け、業種全体に投資した場合の平均リターンをそれぞれ計算してみることにしました。

 

すると、おどろくべきことがわかりました。

株価上昇にはトレンドがあったのです!

 

業種別での上昇率トップ&ワースト3位は次の通りになりました。

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建設業は、史上最低水準の金利環境に加え、国の国土強靭化計画という追い風が吹いていて、医療に関しても、人々の健康意識の高まり、新種のウィルスの増加という追い風が吹いていました。

※WHO(世界保健機関)は緊急事態(PHEIC)を、この10年間で5回も宣言してます。

 

鉄・鋼は近年の需要の低下傾向、原材料の転換が進むという向かい風と対峙していますし、電力は原子力発電への危機意識や、太陽光発電の電力買い取りも利益を減らす逆風です。

 

つまり、追い風の吹く環境下に身を置いている業種では、全ての企業の株価もある程度恩恵を受け、向かい風に晒されている業種は、全ての企業から資金が引き上げられる傾向があるのです。

 

ジム・ロジャーズは言います。

 

1970年に一次産品を買って10年間保有し、80年にそれを売って日本株を買い、90年にそれを売ってテクノロジー関連株を買い、2000年にそれを売っていたら、あなたは今頃大富豪になっていただろう。逆に、70年に投資を分散していたなら、ここ30年、ちっとも儲からなかったはずだ。

 

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瀉血効果

1799年12月、ジョージ・ワシントン大統領が亡くなりました。

 

彼を死に追いやったのは瀉血(シャケツ)治療という2000年を超える歴史を持ち、引き継がれてきた治療法です。

 

瀉血治療では、『すべての病は、体内の血液量が多過ぎるために発症する』という四体液説にもとづいて施され、患者は体内の血液量を減らすために大量の血が抜かれます。

 

患者は半死の状態で血を抜かれ続け、傷口から血が出なくなると、傷口の敏感なところにヒルがのせられます。

ヒルが吸い込んだ血でパンパンに膨らむと、お腹を空かせた別のヒルが代わりにあてがわれたのです。

 

数か月後、患者は退院します。

『亡くなっていなければ』ですが。

 

この治療法が間違っていることを示す証拠はいくつもありました。

現にほとんどの患者は瀉血をしなくても回復していたのです。

 

にもかかわらず、2000年もの間、この間違った治療法は受け継がれ続けてきたのです。

『他に代替えできる治療法が見つからない』という理由だけで…。

 

『スイスの知の巨人』ロルフ・ドベリは、

「他に選択肢がないから」という理由だけで、間違っていることを『間違っている証拠がある』にもかかわらずやり続ける私たちの傾向

瀉血効果と呼びました。

 

『瀉血効果』はあなた個人にも起こる。間違った考えに固執するのを避けたければ、あなたの投資戦略や人生哲学や周囲の人々に対する見解を、定期的にチェックすることだ。持説にそぐわない事実に出会ったら、その説はすぐに放棄しよう。『もっと優れた説』が見つかるまで待っていてはいけない。それが見つかるまで、2000年かかることもあるのだから。

 

『投資先を広範に分散する方法は間違っている』という事実は、多くの研究によって証明されています。

 

にもかかわらず、多くの人が『従来型の分散投資』に囚われ、市場平均以下のリターンに満足しているのです。

 

私は、自分の原則が間違っていることに気づいたので、古い原則を放棄しました。

 

みなさんの原則はどうですか?

 

以上です。

投資家の皆様の健闘を祈ります!

(`・ω・´)ゞ

※投資は完全自己責任でやりましょう!

 

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まとめ

●投資先を分散させればさせるほど、投資リターンは低下する。

●市場平均株価を構成しているほとんどの銘柄の成長率は平均を下回る。

●ほとんどの投資家は市場平均を上回る成績を残せない。自分の無知を受け入れられるのであれば、インデックスに投資することは賢明な判断である。

●追い風が吹いている業界では、ほとんどの個別銘柄も恩恵を受ける。良い変化が起こっている業種に投資しよう。

●自分の原則が間違っている証拠を知った場合、その原則はすぐに放棄しよう。『より優れた原則』が見つかるのを待っていてはいけない。それが見つかるのに2000年かかることだってあるのだから。

参考書籍

Think Smart  間違った思い込みを避けて、賢く生き抜くための思考法

ブラック・スワン[上]―不確実性とリスクの本質

ブラック・スワン[下]―不確実性とリスクの本質

反脆弱性[上]――不確実な世界を生き延びる唯一の考え方

反脆弱性[下]――不確実な世界を生き延びる唯一の考え方

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