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初めて損切りしたときの感情で、その人の投資スタイルが決まる件
怒りと不安
投資を始めると、そう遅くないタイミングで、必ず不測の事態に巻き込まれ、損失を出してしまうのは誰もが通る道です。
私の場合はFXから投資を始めましたが、2015年の上海ショックで、資金の大半を失ってしまった苦い経験があります。
これが私の初めての『損切り』です。
行動経済学では、この『"最初の損切り時"に、どんな感情を抱いたか?』で、その後、その人がどんな投資スタイルに落ち着くのかが、研究でわかっています。
私たちの行動や好みは、常に一定ではなく、あるタイミングを機に変化するのです。
投資においてそのタイミングは、『不測の事態に遭遇した時』です。
私たちは、株価大暴落などの不測の事態に遭遇した際、多くの場合、次のどちらかの感情が湧き上がってきます。
『不安』そして『怒り』です。
初めて損失を出してしまった時に、この二つのどちらの感情が強かったかで、その人の、その後の投資スタイルが決まるというのです。
皆さんはどちらの感情が強かったでしょうか?
二つの投資スタイル
まずは『怒り』の感情を抱いた投資家です。
突然の株価暴落に対して、
「クソ!なんでこんなことになるんだ!?ふざけるな!」
こんな感情を抱いた方は、
危険愛好的な傾向にあり、リスクの大きい選択を好むようになります。
投資スタイルは、
リスク先行型の短期集中投資スタイルです。
当然、リスクの高い投資を行うので、破産する確率も高くなってしまうのですが…
リスクを取ることができるので、こういった人の中から成功する投資家が出やすいのも事実です。
また、起業には不確実性が付き物なので、そんな中でもリスクを取ることができるので、起業家に向いているタイプかもしれませんね。
そして、『不安』の感情を抱いた投資家です。
私は、上海ショックで大損した時、こう思いました。
「マジか…こんなこともあるのか…」
私と同じような感情を抱いた方は、
危険回避的な傾向にあり、ある程度確実なものでも不確実性をより大きく感じてしまうため、リスクを避けがちになります。
投資スタイルは、
リスク回避型の長期分散投資スタイルです。
私は、株価暴落の恐怖のあまり、広範囲な分散投資をするようになりました。
確かに、50~100銘柄への分散投資は、破産するリスクを抑えてくれますが…リターンが少なくなることも事実です。
分散投資をありがたがるとは、気が違っているとしか思えない。
天才投資家チャーリー・マンガーはなかなかキツイことを言っています。
しかし、私個人としては、分散投資を悪く言うつもりはありません。
分散投資で、市場の中で生き残ることだけを考えてもいいのではないか?と思います。
投資アドバイザーのメアリー・バフェットも次のように言っています。
分散投資戦略は、勝ちと負けを相殺するため、あなたを大金持ちにすることはできないが、あなたを貧乏なまま放置しておくこともない。
『感情』から生まれる『行動』は間違っている可能性
『Rから始まる英単語』と『3文字目がRの英単語』どちらが多いでしょうか?
心理学者のダニエル・カーネマンとエイモス・トベルスキーは、152人の被験者に対し、この質問をしました。
すると、152人中105人が『Rから始まる英単語』と答えたのです。
正解は『3文字目がRの英単語』です。(※何個あるかは知りません!)
思いつきやすい事柄を重視してしまう私たちのこの特性は、
利用可能性(アベイラビリティ)バイアスと呼ばれています。
飛行機の墜落事故が起きてしまった場合は、海外旅行のキャンセルが相次ぎます。
飛行機が世界一安全な乗り物であるにも関わらずです。
遠方で地震が起きた後は、地震保険加入者が増加します。
どれ程の確率で、自分の住んでいる地域でも地震が起きると考えているのでしょうか?
(そういう私も地震保険に加入しています…)
では、
『損失によって抱いた感情』から連想される投資スタイルは本当に正しいと言えるのでしょうか?
逆を試してみよう!
私たち大多数の投資家は、不測の事態に遭遇した時の感情で投資スタイルを決めてしまいます。
しかし、その大多数の投資家が、投資でさらなる損失を重ね、退場してしまう(または微益のままで終わる)のです。
そこで私から一つ提案してみたいと思います。
感情から連想された投資スタイルの逆を試してみてはいかがでしょうか?
最初の損失を出した際に、怒りの感情を抱いた投資家の方は、不安の感情を抱いた投資家よりも、リスクを取る能力に優れています。
リスク先行型・少数銘柄への長期集中投資スタイルです。
これはフォーカス投資と呼ばれ、伝説的投資家のウォーレン・バフェットも実践している投資法です。(私もこのスタイルで投資しています。)
最初に損失を出した際に、不安の感情を抱いた投資家の方は、怒りの感情を抱いた投資家よりも、慎重な意思決定をすることができます。
リスク回避型・短期集中投資スタイルです。
慎重な判断ができる投資家だからこそ、投資するタイミングや、損切り設定を鋭い目で見極めることができるのではないでしょうか?
両者の特性を組み合わせた投資スタイルは、まさに"鬼に金棒"です。
多くの並みの投資家を出し抜けることでしょう!
なかなか投資成績が上がらず困っている方は、思い切って投資スタイルを変えてみてはいかがでしょうか?
以上です。
投資家の皆様の健闘を祈ります!
(`・ω・´)ゞ
※投資は完全自己責任で行って下さい!
まとめ
●不測の事態に陥った際、最も強く湧き上がってくる感情によって、私たちの投資スタイルは確立される。
●『怒り』の感情を抱いた投資家はリスクを取ることを好み、『不安』の感情を抱いた投資家は、リスクを回避しようとする。
●リスク先行型も、リスク回避型も、それ自体が悪いものではない。
●感情から生まれる行動は、多くの場合、間違っている可能性が高い。
●自分の特性に足りないものを補うことで、より優れた投資スタイルを確立することができる。
参考書籍