なぜ経済評論家を疑わないのか?『カチッサー効果』のワナ


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なぜ経済評論家を疑わないのか?『カチッサー効果』のワナ

 

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私たちは、理由があれば納得する

ある日、私は車の整備を依頼しようと、行きつけの整備工場に電話をしました。

しかし、呼び出し音が繰り返されるだけで、一向に繋がってくれず、イライラして電話を切りました。

 

別の日、契約中の保険会社に用があって電話したときのことです。

同じく繋がらなかったのですが、なぜかその時はイライラしませんでした。

 

保険会社への電話では、次のようなアナウンスが流れていました。

 

「ただ今、たいへん混み合っております。しばらく待ってお掛け直しください。」

 

 

心理学者のエレン・ランガーは、図書館のコピー機の前に行列ができるのを待ち、行列ができると、列の一番前に並んでいる人にこう尋ねました。

 

「すみません。5枚だけ先にコピーをとらせてもらえませんか?」

 

しかし、順番を譲ってくれる人は、ほとんどいませんでした。

 

結果を確認し、もう一度同じ実験を行いました。

ただ、今度は尋ねる文章に一言付け加えることにしました。

 

「すみません。5枚だけ先にコピーをとらせてもらえませんか?急いでいるもので

 

すると、ほぼ全員が列を譲ってくれたのです。

 

謝罪に正当な理由を添えることができれば、相手の気分を害すことなく、自分の要求を伝えることができます。

このコミュニケーションテクニックを、心理学では

アサーション呼ばれています。

 

面倒な仕事を断りたいときは、

 

すみません。別件があるので、それが終わってからでもいいですか?」

 

経験上、これで多くの場合、相手の気分を害することなく、その仕事を断ることができるでしょう。

 

「急いでいる」というのは正当な理由なので、コピーの順番を譲ってもらえたのは納得のできる結果です。

しかし、この実験はこれでは終わりませんでした。

 

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カチッサー効果

ランガーは再び、行列ができるのを待ってこう尋ねました。

 

「すみません。5枚だけ先にコピーをとらせてもらえませんか?何枚かコピーをとりたいもので

 

当然ですが、コピー機の前に並んでいるのですから、『コピーをとりたい』という理由は、まったく理由になっていません。

 

それにも関わらず、またもや、ほぼ全員が列を譲ってくれたのです。

 

つまり、行動に理由を添えるだけで、その行動は正当化されるということです。

 

驚くべきことに、その理由がもっともらしいものでなく、ほとんど意味がないような理由だったとしても『理由があるから』というだけで承諾してもらいやすくなるのです。

 

この現象は心理学では

カチッサー効果と呼ばれています。

 

この効果を巧みに利用しているのが、経済評論家です。

 彼らの仕事は、私たちに理由を提供することです。

 

例えば、アメリカの雇用統計の結果が予想と同じだった場合でも、ドルが買われることもあれば、売られる場合もあります。

 

経済評論家は、買われたときには、「好調な雇用統計の結果を受けて」と言い、売られたときは、「やれやれの利益確定売りが出た」と言います。

 

他にも、「中央銀行の追加緩和策を期待した…」とか「○○大統領の発言により…」という理由も多く使われています。

 

時には「冗談だろ?」と思うほど雑な理由も目にします。

 

「堀北〇希の結婚報道を嫌気した円高」

(。´・ω・)?

 

それでも、当時の私にはその理由で十分だったのです。

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全ての出来事に理由はあるのか?

私たちは、実際に起きた全てのことに理由が有ると考えてしまいます。

 

地震・台風・竜巻・豪雨…

これら自然災害においても、ネットでは数多くの陰謀説が噂されています。

 

おそらく、これらは正真正銘の自然災害で、そこに理由は無いでしょう。

 

『昨日食べたハンバーグ』『今日の天気』『将来出会う人生のパートナー』

 

実は、実際に起こる多くことには、理由なんて存在しないんです。

理由は、私たちが後になって付け足すことで生まれるからです。

 

株価の暴落や、為替の大変動は、巨額の資金に高いレバレッジを掛けて取引している機関投資家の生き残り合戦から生じる…自然災害みたいなものです。

 

私は、ニュースを見て、理由を調べていればきっと、投資の腕が上がると思い込んでいましたが…何年経っても同じことを繰り返すだけでした。

 

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結論

日々変動する株価の理由を追い求めるのは、やめてみてはいかがでしょうか?

 

「理由がわからないと、次に活かせられない!」と思われるかもですが…

経験上、理由を知っても、投資の質は変わらないから大丈夫です。

『理由を調べる』よりも、もっと投資の質を上げられる方法があります。

 

それが想像することです。

 

一見、「あり得ない」と思うことでも、起こりうる全てのことを想像しておきます。

 

保有している株式ポートフォリオが半値になることも。

投資した会社が倒産してしまうことも。

1ドルが50円になることも…。

 

どんな出来事であっても、起きる確率はゼロを下回ることはありません。

上記のようなことが実際に起こったとしても、決して、驚くことではないのです。

 

チャーリー・マンガーは次のように言っています。

 

私と同じように、1973年と74年の2年間や1990年代初めの株式市場に身を置いていたなら、カントリークラブを脱会するための順番待ちリストを目にしたはずだ。あなたも長生きすれば、そんな厳しい状況に遭遇するだろう。

 

今皆さんがウォッチしている優良株が、お手頃価格に下落するということも、決して、あり得ない話ではないのです!

 

そのチャンスを逃さないためにも、しっかりと準備しておきましょう!

※投資は完全自己責任でお願いします。

 

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まとめ

●理由が添えられているというだけで、私たちは、多くの出来事に納得してしまう。

●理由が意味をなしているかどうかは重要ではない。「~なので」というだけで、その行動は正当化される。

●「~なので」という理由は、私たちから面倒事を遠ざけ、自分の主張を通すのを助けてくれる。こまめに使おう。

●実際のところ、人生で起こる多くの出来事に理由は存在しない。

●今は割高なあの企業の株も、大暴落することは十分に考えられる。しっかり準備し、チャンスに備えよう。

 

参考書籍

マンガでわかる! 心理学超入門 [マンガ心理学シリーズ]

Think Smart 間違った思い込みを避けて、賢く生き抜くための思考法